「JR貨物フェア2018」アンケート内ご質問の回答(地元のJR貨物職員のご担当者より)

JR貨物フェア2018にお越し頂いた皆様方、御来場ありがとうございました。約1ヵ月半の間に、4万人を越える方々に足をお運びいただけたことは、大変光栄です。毎年楽しみにしておられる方、近隣だけでなく遠方からもこのフェアに来ていただけたことは大変嬉しく思います。
さて、御来場していただいた方々には、アンケートの回答に御協力いただきました。この場を通じて、御礼申し上げます。1枚1枚拝見すると、「本物の運転台が操作できてよかった」「運転士の制服が着用できてよかった」等、楽しんでいただけたお声や「これからもお仕事頑張って下さい、応援しています」「貨物列車が大好きです」「将来は運転士になりたいです」等、我々にとっても嬉しいお声が多数ありました。一方で、「グッズ販売の希望」「鉄道模型を置いてほしい」「写真を増やしてほしい」等の意見もありました。残念ながら、会場スペースには限度があり、また設置が可能であってもそれをどのように管理するかという問題から実現には至っておりません。深く反省するとともに今後もさらに楽しんでいただけるものを提供できるよう、引き続き努めさせていただきます。その他、アンケートではご質問やお手紙を頂戴しました。この機会に、ご質問への回答10点と、お手紙へのお返事の3点を選ばせていただきました。アンケートにコメントをお寄せ下さった皆様、本当にどうもありがとうございました。

※「JR貨物フェア2018」の詳しくはこちらから

ご質問に対する回答

1.貨物列車の運転士になるにはどうすればいいですか?

⇒当社に入社していただくことが前提となります。入社後、機関区・車両所・貨物駅・保全センター等に配属され、鉄道従事員として活躍することになります。運転士の資格は、国家試験であり受験資格は20歳以上と決められています(高校を卒業して、入社した方の場合は20歳以上になるまでは試験を受けることができません)。各職場で数年間、経験を積んだ後、社内で選考試験(学科、視力・聴力等の身体検査、運転適性等)を受け、合格した後JR貨物中央研修センター(東京都)に入所することになります。ここでは、運転法規、信号・線路、車両構造等の学科講習を約4ヶ月間学び、最後に学科試験を受験し、合格しなければなりません。そして、学科試験に合格した後、配属先の機関区に戻り、次は営業列車に乗務し技能講習となります。技能講習は、1人で乗務するのではなく、指導操縦者(いわゆる師匠さん)と同乗し、約4ヶ月間行動を共にし、乗務線区の運転方法や機関車形式別の運転操作方法、異常時が発生した場合等の訓練を行います。最後に技能試験に合格すると動力車操縦者運転免許証が交付されます。社内選考試験から考えると、約1年間は非常に多くの勉強をしなければなりませんが、長大編成を1人で運転するやりがいや達成感は、何物にも代え難いものです。この他、よく質問されることですが、運転士になる為に何か特別な知識を付けていなければならないのか?と聞かれることがあります。そのような心配は不要です。工業系統の学科だから、普通科だから、商業科だからといったことは関係ありません。運転士に必要な知識・技能はきちんと講習中に学びます。何より途中で諦めず、最後まで「運転士になる!」という強い意志が大切だと思います。

2.吹田貨物ターミナル駅・吹田機関区の一般公開はありますか?

⇒現在のところ、一般公開は計画しておりません。近隣への騒音、道路混雑や構内の安全対策、通常業務に支障を出さない為の要員確保等も課題であり、我々としても皆様の御要望にお応えできていないことは残念であります。

3.いつ貨物列車が通るのか時間を知りたいです。

⇒貨物列車にも旅客列車と同じようにダイヤがあります。このダイヤが書かれた時刻表は、毎年1回春のダイヤ改正に合わせて、公益社団法人鉄道貨物協会発行「貨物時刻表」として販売されています。こちらは大型書店やインターネットからも購入できます。詳しくは、公益社団法人鉄道貨物協会のホームページをご覧下さい。(貨物フェア担当者からのアドバイス! 東海道線吹田駅であれば、10時~13時までの間には、上下ともに多くの貨物列車を見ることができます。上りであれば九州方面から関東方面へ、下りであれば関東・北陸方面から九州方面に向かう列車がおよそ15分間隔で運転されています。EF210形式桃太郎もたくさん見られるはずです。)

4.JR貨物には総数何両の機関車がありますか?

⇒電気機関車429両、ディーゼル機関車161両保有しています(平成29年4月1日現在)。

5.コンテナ貨車は最大何両連結可能ですか?また、どんな荷物が入っていますか?何キロまで入りますか?

⇒コンテナ貨車は、最大26両連結可能です。また、コンテナには食料加工品、化学品、紙・パルプ、宅配便等が入っています。コンテナには様々な大きさのものがあり、主力である12ftコンテナ(長さ×幅×高さ=3.6m×2.2m×2.2m)を例にして考えると、5000キロ(5トン)の荷物が入ります。

6.大量の貨物を間違いなく仕分けするのはどうしているのですか?

⇒当社には、貨物情報ネットワークシステム(IT-FRENS&TRACE)があります。コンテナには全てICタグが取り付けられており、このネットワークシステムを通じてコンテナの位置を把握しています。例えば、ある列車から吹田貨物ターミナル駅で取り卸すコンテナが5個あるとします。コンテナを取り卸すフォークリフトには列車のどの位置に取り卸すコンテナが積載されているのか一目で分かるように端末が搭載されており、この端末の情報を基に、コンテナの取り卸しや積み込み作業が行われています。

7.貨物を引っ張る機関車は何種類ありますか?

⇒全17種類あります。このうち、電気機関車はEF64・EF65・ED76・EF81・EF66・EF200・EF210・EF510・EH200・EH500・EH800形式があります。この他にEF67形式もありますが、この機関車は広島県最大の難所と言われるセノハチ(瀬野~八本松間)で貨物列車の補機(後方から列車を押すこと)として使用される為、貨物列車を引っ張る機関車ではありません。
次に、ディーゼル機関車及びハイブリッド機関車にはDE10・DE11・DD51・DF200・DD200・HD300形式があります。このうち、DE10・DE11・HD300・DD200形式は貨物駅内の入換作業(貨車の移動等を行うこと)で使用されますが、HD300形式以外の車両は本線でも貨物列車を引っ張ることができる車両です。

8.終点駅はどこですか?

⇒貨物駅の最北端は北旭川駅、最東端は釧路貨物駅、最西端は川内駅、最南端は鹿児島貨物ターミナル駅となります。(鉄道貨物路線は、全国各地に張り巡らされています。したがって、路線ごとに終点駅が存在する為、このようにお答えさせていただきました。)

9.新型車種の導入はありますか?

⇒吹田機関区ではEF210-300番台(2012年9月落成)の増備を進めており、EF66-0番台及びEF200形式の置換えを進めているところです。

10.荷物の量は年々増加しているのですか?減少しているのですか?

⇒増加しています。近年、環境負荷の小さい輸送機関へ移行するモーダルシフトに加えて、トラックドライバー不足問題が深刻化しています。これらの問題解決の担い手として、鉄道貨物輸送の良さが見直され、利用されるお客様が増えています。今後も、より良質な輸送サービスを提供できるよう精進してまいります。

JR貨物の皆様へのお手紙(抜粋)

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お手紙のお返事

①お手紙書いてくれてありがとう。運転士さんたちは、いつも会社にきて貨物列車に乗る前からドキドキします。これから長い時間をかけて、安全に運転しないといけないからね。駅で貨物列車を見ると、今日の機関車は、なんだろう?荷物はたくさんのせているのかなあ?といろいろなことを考えています。
雨の日や雪の日の運転は、気をつけることが多いからお天気も気にしているよ。運転士さんたちもがんばるから、学校で勉強がんばってね。

②お手紙ありがとうございます。休日は、本当に多くの方々が駅や沿線で私たち運転士に手を振って下さる光景をよく目にし、「応援してくれているな」と温かい気持ちになります。吹田貨物ターミナル駅に隣接する形で明和池公園があり、貨物列車を間近に見ることができますね。お子様には本当に喜ばれるスポットでしょう。お手紙を読みますと、「REDサンダー」が大好きとのことですが、赤色だけでなく、JR東日本で活躍していた青色、銀色も走っています。見る日、見る時間によって機関車も変わりますので、これからも貨物列車を温かくご覧いただけたら光栄です。来年も是非、JR貨物フェアにお越し下さい。

③お手紙ありがとうございます。小学4年生の「貨物列車の運転士になる」という言葉は、本当に嬉しい気持ちです。電車とは異なり、1人であの長大編成を運転することはやりがいを感じる仕事です。夢の実現まで、まだまだ時間はあります。元気一杯、健康にすくすくと成長されることがこれからの楽しみですね。私たちもお待ちしております。
さて、四国へ転勤されるということですが、四国島内でも貨物列車は運転しています。現在は、全ての列車が本州から瀬戸大橋を渡って、高松貨物ターミナル駅(予讃線鬼無~香西の間にあります)に発着します。また、一部の列車は高松貨物ターミナル駅から予讃線を西に向かって運転されています。行先は、松山・新居浜・伊予三島です。列車本数や列車の長さは違いますが、四国でも桃太郎やEF65形式をご覧いただけます。
吹田市から遠方へ移動されますが、機会がありましたら、来年も是非貨物フェアにお越し下さい。

終わりに

毎年の恒例となった「JR貨物フェア」。実物の運転台を操作して笑顔で楽しむお子さんの姿や吹田市に物流を支えるこんな施設があるのだと初めて知った方々のことを想像すると、今から来年に向けて力が入ります。最近では、環境に優しい鉄道貨物輸送として、ニュースや新聞等でJR貨物の存在を知る方も少なくないと思います。しかし、まだまだ認知度は低く、皆様と触れ合う機会もなかなかありません。ともすれば、旅客列車とは異なって地味な存在かも知れませんが、少しでも皆様にJR貨物の存在や役割を今後も伝えていきたいと思います。「安全第一の鉄道貨物輸送」に全力で取り組んでまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
(JR貨物フェア担当者より)