「JR貨物フェア2016」アンケート内ご質問の回答(地元のJR貨物職員のご担当者より)
「貨物フェア2016」にお越し頂いた多数の皆様方、ご来場ありがとうございました。ご来場頂いた皆様方には、アンケートの回答にご協力して頂きましたことを、この場をお借りしまして、感謝申し上げます。今回、頂戴しました意見は、「貨物フェア」を今後も開催するにあたり、参考にさせて頂き、一人でも多くの方に楽しんで頂ける場を提供していきたいと考えております。
さて、今回はアンケートの中でご質問された内容の回答とお手紙を書いて頂いた方に、運転士からのお返事をこのホームページを通じて掲載したいと思います。なお、ホームページ内の容量には限度があり、全てのご質問に回答できません。その為、全てのアンケートの中から回答10点と運転士からのお返事2点とさせて頂きました。全てのご質問に回答、またお手紙を頂いた方へのお返事ができないことは大変申し訳ございません。ご理解の程、よろしくお願いいたします。そして、次回、更にバージョンアップ予定の「JR貨物フェア2017」と「万博鉄道まつり2017」でのJR貨物の展示にご期待下さい。
(「貨物フェア」担当者より)
ご質問に対する回答
- コンテナが載っていない貨車がありますが、なぜですか?
⇒コンテナを積載する量は、その日によって異なります。特に、日曜日は利用して頂いている企業様が休日とあり、コンテナを積載する量が少ないこともあり、その翌日となる月曜日の日中に走行する貨物列車は、空席が多いことは事実です。
また、東京貨物ターミナル発福岡貨物ターミナル行きの貨物列車が、途中の吹田貨物ターミナル駅でコンテナを積み下ろす例もあります。したがって、途中駅から空席となる場合があります。 - 主にどんなものを運んでいますか?また、運べないものはありますか?
⇒農産品・青果物、化学工業品、化学薬品、食料工業品、紙・パルプ、積み合わせ貨物(宅急便など)、自動車部品、家電・情報機器、エコ関連物資、引越荷物などを主に運んでいます。
また、放射性物質の運送はできません。 - 貨物列車の運行時刻は時刻表に掲載されていますか?
⇒駅に掲載される時刻表や配布されている時刻表には、貨物列車の時刻は掲載されません。貨物列車の時刻表は、毎年1回春のダイヤ改正に合わせて、公益社団法人鉄道貨物協会発行「貨物時刻表」が販売されます。こちらは大型書店やインターネットからも購入できます。詳しくは、公益社団法人鉄道貨物協会のホームページをご覧下さい。 - 貨物取扱量が増加した場合や急な荷物があった場合は、貨物列車が増発されますか?
⇒はい、増発されます。ただし、すぐに対応できることはありません。臨時に貨物列車を運転するには、そのダイヤ設定や機関車・貨車の運用、運転士の手配など様々な事前準備が必要で、多くの時間を要します。貨物取扱量が増加する見込みや事前からその増加が分かっている場合などには、臨時列車を運転することがあります。
また、最近では休日等に運休する貨物列車を、休日等にも運転すること(これを復活運転といいます。)により、増加する貨物にも対応しています。 - 個人で引っ越しなどに利用できますか?
⇒個人でのご利用は可能ですが、窓口は鉄道利用運送事業免許を取得している業者(通運会社など)となりますので、個人がJR貨物へ輸送を委託することはできません。 - マスコンハンドルのFF~F8の意味が知りたい
⇒EF66形式・EF64形式・EF81形式など国鉄型の機関車では、機関車の動力源である「主電動機(モーター)」を電気回路上でつなぎ替えることにより、速度制御が行われます。マスコンハンドルには、S・SP・Pのノッチ表示があります。これはS(シリース:直列)、SP(シリースパラ:直並列)、P(パラ:並列)を意味しており、主電動機のつなぎを直列⇒直並列⇒並列と変えていくことで、電圧の大きさが大きくなります。その結果、主電動機の回転が速くなり、機関車の速度が速くなっていきます。
しかし、Pノッチとした後もさらに加速したい場合や列車の重量が重く、加速が悪い場合などにマスコンハンドル上部にあるFF~F8を使います。このFF~F8は、弱め界磁(Field)と呼ばれるものであり、FF(Full Field:全界磁)、以後は段階により数字がつきます。使用しない通常の位置は、FF位置になります。この弱め界磁により主電動機に流れる電流を大きくさせ、回転力が大きくなります。その結果、さらに機関車が加速します。しかし、その反面、弱め界磁を使用すると、電流の大きさが大きくなる為、主電動機の負担が増すことで故障の原因にもなりかねません。したがって、弱め界磁を使用する場合は、運転士も慎重に扱っています。 - EF200形式は、全車廃車するのですか?
⇒平成28年度3月ダイヤ改正では、吹田機関区のEF200形式は配置4両となり、半数以下となりました。全てのEF200形式が廃車になるという時期は、現段階では未定ですが、EF200形式全車廃車という日が来ることもそう遠くはないでしょう。 - 今後、新型の電気機関車は開発されますか?
⇒現在JR貨物では、EF210-300番台・HD300形式・EH800形式を主に増備しており、老朽化した機関車の置換えを推進しています。特にEF210-300番台は、EF66形式やEF200形式の置換え対象となっており、EF66形式やEF200形式の置換えが完了していませんので、今後も同形式が増備されることが見込まれます。 - どうしたら運転士になれますか?
⇒JR貨物に入社することが前提となります。仮にJR貨物に入社した後のお話をさせていただきます。
当社に入社後、初めは貨物駅や機関区・車両所などの現場に配属されます。ここでは、駅構内でのコンテナフロント業務や操車担当、車両の修繕などを行います。その後、本人の希望や社内で運転士の要員などを鑑みて、選考試験・適正試験・医学検査などを受けます。それらに合格した人材が当社内にある中央研修センター(動力車操縦者養成所)に入所し、約4か月間は運転知識を学びます。その後、配属となる機関区で約4か月間は営業列車での運転操縦を、約3か月間は異常時訓練など約1年をかけて運転士へと育つことになります。 - 吹田機関区・吹田貨物ターミナル駅の見学会の予定は?
⇒今のところ、一般公開や見学会などは計画しておりません。近隣との騒音の問題や構内の安全対策なども課題であり、我々としても皆様方のご要望にお応えできていないことは反省すべき点であります。
今後は、吹田にぎわい観光協会とともに貨物フェアや万博鉄道まつりなどを中心に開催していきたいと考えております。
お手紙へのお返事
- 3月7日に兵庫県より来場されたT様へのお返事
遠いところから、来てくれてありがとうございました。長時間熱心に展示品を見てくれて、私も本当に嬉しいです。
お手紙を読んでみると、本当に「EF200形式が好きなんだ!」と伝わってきました。この場を借りて、EF200形式について少しお話をしようと思います。
EF200形式は、21両しか製造されなかった少数派の機関車です。けれど、誕生した当時の最新技術を採用したり、国内最大出力を誇る機関車だったりと自慢する部分も多いです。これだけではなく、その後の機関車であるEF210形式やEF510形式など、今ではあたり前となったインバータ機関車の第1号となったことは、本当に貨物機関車の元祖とも言えます。私もたまにEF200形式を運転しますが、貨物列車が上り勾配と止まった時、そこから動き出す技術は運転士が見せる技でもあります。特に、EF200形式は上り勾配からもスムーズに動き出せる力があるから、運転士も助かる存在です。
EF200形式が他の機関車を置いて、廃車していくことは残念ですが、私たち運転士も、頑張って貨物列車を安全に運転するから、まだ残っているEF200形式の力強い走りを沿線で見守ってほしいと思います。 - 3月10日に吹田市より来場されたK様へのお返事
貨物フェアに来てくれて、ありがとうございました。10才と書いてありましたが、私も、小さい頃から運転士になるという夢を持っていたので、JR貨物に入って運転士になりました。とにかく運転士に憧れていたので、人を運ぶか貨物を運ぶかといった迷いはなかったけど、貨物列車の運転士になって、やりがいを大きく感じています。
貨物列車は、最大26両編成です。沿線から見ていても、「長いなあ」「コンテナが多くて重たそう」と思うかもしれません。 本当にそのイメージのままが運転にもつながり、加速してもすぐに高速にならないし、ブレーキも難しいです。ここが電車と大きな違いだと思います。けれど、難しいからといっても運転士は、事故を起こさないで目的地に運ぶことが仕事です。だから、運転技術は毎日磨いていかないと上達もしません。
将来、運転士になりたいそうですが、運転士の勉強は、鉄道会社に入ってから養成所(学校みたいなもの)があって、ここで運転の勉強をします。だから、特別に「今何を勉強したらいいか?」とかはないです。今は、きちんと毎日学校の授業を受けて、体力も必要だから、運動もして下さい。運転士になるには、会社に入ってからもたくさん勉強をします。大変な道のりではあるけれど、将来私たちと同じように貨物列車の運転士になることを期待しています。大きなケガや病気に気をつけて、これからも勉強頑張ってね。
おわりに
毎年「貨物フェア」のアンケートを1枚ずつ読ませて頂くと、多くの皆様方から「いつも安全第一で、お疲れ様です。」「桃太郎が大好きです。」「これからも応援しています。」など、多くの温かいお言葉を頂戴しています。世間の皆様方からJR貨物を見て頂いていることを、改めて実感すると同時に職員の励みになっています。重ねて心より御礼申し上げます。
貨物輸送は、ともすれば地味な存在かもしれません。しかし、「地球環境に優しい鉄道輸送」という魅力は、社会的に見ても有意義な役割です。私たちはこれからも安全第一で貨物列車を走らせ続け、そして皆様方に喜んで頂けるように、貢献してまいります。これからもJR貨物をよろしくお願いいたします。